最近の選挙、公約のセット販売は勘弁してほしい

■参議院選挙が終わって

7月21日には参議院選挙が行われ、自民党が圧勝に終わったことはご記憶のとおりです。いわゆる「ねじれ」が解消し、政府自民党は「わが意を得たり」とばかりに、高い支持率を背景に動き出していますよね。その政策の中身についての評価や意見はともかくとして、選挙で投票された方は、どうやって候補者や政党を選んだでしょうか? そして、現在の政府与党の動きに納得していますか?

■公約パズルのセット販売に困惑

参議院選挙では、自民、民主、公明、共産、社民、維新の会やみんなの党・・・とさまざまな党が、さまざまな「マニフェスト=公約」を発表しました。しかし、今回は争点が非常に多かったために、「パズルのような公約セット販売状態、どう判断したらよいのかわけがわからん!」 でした。

たとえばの話ですが、自民党を支持した方の中にも、景気対策のアベノミクスはいいとして、でも原発再稼働はいや、憲法改正論もちょっと賛成しかねる・・・でも、今一番気になるのは景気対策だから・・・、えーっとTPPのこともある・・・「ええいっ!自民党で行ってしまえ」などという具合に選んでしまった方も多いはず。

にもかかわらず、すべて国民の賛同を得たかのような顔をして、原発再稼働とか憲法改正を前に進めようとされたのでは、「おいおい、そこは賛成してないよ」と言いたくなるでしょう。できれば投票用紙に、「ただし、○○と○○については反対」と記入したくもなります。

実際には、現憲法下では、議員に対して「自由委任の原則(命令委任の禁止)」が採られていますから、公約に法的拘束力が発生したりはしません。しかし、たとえそうだとしても、得票の事実が、政策推進の正当化根拠として大きな意味を持ってしまうことは避けられません。

作者:Monaneko http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Japanese_House_of_Councillors_election,_2013_ja.svg

作者:Monaneko
http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Japanese_House_of_Councillors_election,_2013_ja.svg

■さまざまな角度で悩み尽きない選挙

じつは、このように各政党が、具体的な政策を細かく公約して選挙を行うことは、自由委任の原則の他にも、政策に対する国民投票のような意味合いを含むので、直接民主制の是非の問題(現制度下では、憲法改正以外、国政についての国民投票は許されないと考えられています)や、政党政治はもう限界ではないかという問題など、国家統治に関する非常に重要な事柄と直接、間接にかかわっていると、私は考えています。

また、こんなこともあります。政策はこの政党がよいと思って、候補者を眺めてみたら、「う~ん、政党はよさそうだが、そうはいってもこの候補者だけは嫌だ」。

さらに、一度決めた公約は必ず守ることが求められ、達成について成績表を付けるような政治の進め方も、ほんとうにそれでいいのでしょうか。公約の内容にもよりますが、それでは国会で議論をする意味も半減してしまいますよね。

■選挙の在り方についてどう思いますか

結論から言うと、私は細かく具体的な公約を列挙したマニフェストを示して、まるでその内容ひとつひとつに投票を求めるかのような選挙や、政党政治の在り方には、さまざまな点で疑問があると考えています。とはいえ、他方で、政策についての考え方が示されなければ選択ができないのも事実です。どうすべきでしょう?

このことは、もっと議論しなければならない問題のはずです・・

 

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