海外旅行先での美術館や博物館、本当に楽しむことができてますか?

■旅の本や雑誌の仕事
弁護士になる前、私は書籍や雑誌の編集の仕事をやっていました。とくに多かった分野は、国内外の旅に関する本や記事、エッセイなど。当時は、仕事でいろんなところに旅に出ることができました・・。
弁護士になって、旅に出る機会が減ったのはちょっとさみしいところですね。

■ところで、ヨーロッパなどの都市を旅するとき、ぜひ観たいのはどんな場所?
景色、寺院、史跡、市場・・・いろいろありますね。
でも、都市観光お約束の場所といえば、有名美術館、博物館ではないでしょうか。たいてい、ガイドブックでも大きくページを割いて紹介しています。パリならばルーブル、サンクトペテルブルクのエルミタージュ、マドリッドならプラド、ロンドンに行ったら大英博物館、フィレンツェならウフィツィー美術館・・・。

■ところが・・・
「旅先での美術館や博物館に出かけて本当に楽しい?」
これは一度自問してみる必要があります。有名美術館や博物館には、一見の価値のある、希少なお宝や美術品が数多く収蔵されているのは事実です。しかし、普段から美術館や博物館に興味を持っていない方が、海外に出かけたからといって突然、予備知識もなく、お約束だからというだけで・・美術館や博物館にでかけるというのはいかにも妙じゃありませんか・・・(もちろん、普段から美術館など大好きという方には、この話はまったく当てはまりません。失礼しました)。
博物館の中にも、予備知識もなく、突然出かけても面白い!というところだってあります。しかし、それでも普段から興味を持っている人に比べると、10分の1も充実した時間を過ごせてはいないのではないでしょうか。

じつは、かくいう私も、最初は美術館や博物館にそれほど興味を持ってはいなかったのです。
本当は、それよりも市場を巡ったり、建造物や史跡を見たり、おいしい物を食べたり、夜遊びしたりのほうが、ずっと魅力的でした。かろうじて現代アートには興味もありましたが、そもそも古い宗教画などは、知識が無ければなにがなんだかわかりません。
でもそんなことを言っては、本の作り手としての資質、知的レベルを疑われてしまいます。だから、白状しますが、かつては、分かったような顔をして「ま、美術館なんかも素晴らしいんじゃないですか・・」などと、いい加減なことを言っていました。

■とはいえ、せっかくなのに、それではつまらない。

そこで、あることを始めてみたのです。訪れる美術館の収蔵品について予習していく?
いえいえ大きな博物館や美術館では、予習するには収蔵品が多岐にわたり過ぎ。しかも、展示品の解説書などは、通り一遍のことを記してあるだけなので、いまひとつ興味を掻き立てられません。

私がやったのは、ともかく一つの美術館や博物館にしつこく通って馴染むということです。まずは大きな美術館がいいでしょう。そこでニューヨーク滞在中に、何度もメトロポリタン博物館に足しげく通ってみたのです。ともかく大きいから、なかなか全部は見られないということもあるのですが、そのうちに博物館の楽しみ方のコツを掴んだようで、なにも特別な予習などしなくても楽しめることが分かってきました。まず通ううちに面白いものに出会って、そこからもっと調べてみたくなる、するとまた次の面白いものに出会う・・・という逆の発想でもかまわないわけです。

美術品の敷居が高い場合には、自然史系の博物館とか、科学技術系の博物館から攻略してみるのも面白いでしょう。

 

■上野公園の美術館、博物館はどうだ
さて、そうなってくると、やはり日本でも美術館や博物館に行ってみようという気になります。しかし、残念ながら日本には、それほど圧倒的な美術館や博物館は存在しません。
と思っていたら、東京を旅した外国人からの、こんな話を耳にしました。単体で大きな博物館が無いのは確かだけど、「上野公園の一連の美術館と博物館は全体としてみればすごい。とくに、いろんな企画展が次々にあって、列をなすほど人が集まってくる、日本人のアートやカルチャーへの関心の高さに驚いた」ということなのですよ。

なるほど、上野公園には、東京国立博物館、国立西洋美術館、東京都美術館、国立科学博物館、東京芸大美術館・・・など、さまざまな施設がひしめいています。これらを総合すれば、それなりの大きさにはなりますね。しかも、それぞれがあの手この手で企画展をやっています

ただ、企画展は面白いのですが、残念なことに、日本の美術館、博物館は常設展の収蔵品については、通って楽しめるほど充実しているとは、正直なところ言い難い。裏を返せば、常設展が今一つだから、次々と企画展をやって動員を図らざるを得ないというのが実情なのです。(ただ、国立科学博物館は常設展もなかなか面白いですよ、ついつい通ってしまいます)

科学技術博物館

この夏は、ダイオーイカで盛り上がりましたが、国立科学博物館は常設展も面白い

「いつ行っても、あそこに行けばあれがある」という状況があってこそ、美術館や博物館は落ち着いて鑑賞でき。もう一度作品に会いに戻ったりもできるのですが、通ったところでそれができないのがつらいところです。

■それでも上野は面白い
しかし、それでも私はやっぱり上野の美術館、博物館は素晴らしいと思うのです。次から次へと、アートとの出会いや知的好奇心を掻き立てる企画を提供し、外国人旅行者をも驚かせるパワーも素晴らしいし面白い。上野公園は私にとって、憩いと刺激の場です。
さらに動物園もあるし、東京都文化会館もある。疲れたら「韻松亭」もいいですよね。

美術館&博物館ライフ、まだのかたは、上野で始めませんか? これ以上企画展が混雑するのはつらいのですが・・

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