■九州には、いいところがいろいろ。またひとつ、私の好きな場所が増えました
昨年から今年にかけて、熊本、大分、鹿児島県の鹿児島など、九州各地を訪れる機会が数多くありました。
そのひとつが、鹿児島県日置市。
鹿児島でツーリストに著名な場所といえば、鹿児島市、桜島、知覧、指宿温泉、霧島など。日置って、いったいどこ? 何があるのでしょうか? 私にとっても、そこは未知の場所でした。
私が日置に行った目的は不動産の現地調査でした。ところが、これが思いのほかいいところなので、紹介せずにはいられなくなってしまったわけです。
■日置は東シナ海沿いのエリア
鹿児島市から西に向かって、日置まではクルマで40分程度。東シナ海沿岸です。南北にどこまでも続く吹上浜というビーチは、ウミガメの産卵や、北部の江口浜はサーフスポットとしても知られていおり、23.9kmにわたるサイクリングロードも整備されています。
そういえば、吹上浜の南部は、北朝鮮による拉致被害で記憶のある方もいらっしゃると思います。ちょっと怖い部分もありますが、それだけ静かなビーチであるということでもあるわけですね。
■まずは江口浜海浜公園へ、そして美山へ
地元でも人気の道の駅がある江口浜海浜公園から、南東方向へ少し行くと、唐突に現れるクラフトの町が美山です。ここは、島津義弘が、卓越した技術を持つ陶工を朝鮮半島から連れ帰って住まわせたことに端を発し、陶芸の町として古くから知られる場所。
現在では 陶芸の窯元だけでなく、さまざまなクラフトショップが軒を連ね、中にはギター工房まであるんです。訪ねてみると、伝統工芸品とも言える薩摩焼の陶器や磁器の他、現代作家の様々な作品もあって、面白い。思わず財布のひもも緩みます。
そして・・なにより私が美山が面白いと感じるところは、じつは「カフェ」。
こんな山の中の小さな町に、個性的なカフェがいくつもあるんですよ。ただし、私が前回体験できたのは「風の丘」ただ一軒のみ。
というのも、このカフェ、工房巡りの合間に、ちょっと一服という感じの場所ではありません。なんなら2時間ぐらいはゆっくりする覚悟でいかないとくつろげなんです。限られた滞在時間で行けたのは一軒だけに終わったということです。
■カフェ「風の丘」
地図を見ながらレンタカーを走らせて行くと、こんなところ入って行けるの? という林道が・・・。それがカフェの入口。思い切って細い林道に入って行くと、いきなり林の中に開けた場所があります。2頭の大きなゴールデンレッドリバーが、尻尾を振って出迎えてくれました。
クルマを降りてみると、奥の方にはヤギも何頭かいる?
いったいここはなんだ? カフェというより農家? 山小屋? 謎の異空間です。
奥に進んで行くと、山小屋の庭のような場所にベンチが並び、ハンモックまであるじゃないですか。散策したり、丘の上からの景色などを楽しみつつ、まったりしていれば、すぐに1時間は経ってしまいます。
私がお邪魔したときには、周辺カフェでそれぞれ独創的な、オリジナルあんみつを考案して提供する「美山あんみつ」というイベントがありました。我々一行は、これを注文したのですが、これが待てど暮らせど出てこない。もしも、これが普通のカフェだったら、もうええわ!と断って、出て行ってしまっても不思議ではないほどの待ち時間です。
でも、ここでのんびりしていれば、まあ遅いけどいいか・・という感覚になってしまいます。しかも、この美山あんみつも、出されたお茶もめっぽう旨いんだから、ますます待ち時間はまあいいかです。
美山には、この他にも、様々な個性的なカフェがあります。次回は是非、もっといろんな店を体験したいものです。
じつは、カフェだけではありません。日置には、さらにさらに・・・、知る人ぞ知る古民家を改装したレストランや、ギャラリーなども、各地区にいろいろと点在しているらしいのですよ。これはなんとしても、チェックせずにはいられません。次回の楽しみですね。
■宿泊は吹上温泉「みどり荘」
江口海浜公園のある北部から、海沿いの国道270号線を南さつま市方向に向かって南下して行くと、やがて現れるのが吹上温泉。ここに「みどり荘」という一軒宿の秘湯があります。
ここは、野趣豊かな露天風呂とその泉質が魅力の宿。「泉質がいい」との評判は聞いていたのですが、入ってみるまではその意味するところはよくわかっていませんでした。単純硫黄泉は他にもいくらでもあると思うのですが、何が違うのでしょう。
入ってみると実感です。体にしっとりまとわりつくような湯ですが、かといってぬめぬめした感じでもなくさらりとした感覚の透明の湯。硫黄と言ってもキツすぎずちょうど良い。
一度入ればガツンと満足もいいのですが、それだけは風情が無い。ここのお湯は私にとっては、何度でも繰り返し入りたくなる湯。
良質の温泉には汚れを落とす作用もあるそうで、ここでは石けんもシャンプーも使わないのが、通のお湯の味わい方だそうです。
なお、補足しておきますが、お湯だけでも十分来る価値のある温泉なので、どうしても湯をクローズアップしてしまうものの、もちろん食事も文句はありませんので、念のため。
ちなみに、鹿児島に行く少し前、私は古家の掃除と墓参りのため、故郷岡山にしばらく行っていました。その際に毛虫にやられて、体じゅう大変なことになっていたのですが、このお湯の陰で本当に良くなりました。
ただ、ひとつ難点をお知らせしておかねばなりません。
それはこの温泉が野趣豊かすぎること。明け方の露天風呂に行くと、ブヨなどの毒虫が居ることがあります。近くに家畜が居るのかもしれません。とくに、夏の明け方頃は蚊取り線香をまず炊いてから、注意して入ってください。
恥ずかしながら、私は股間近くの太ももを2か所やられ、痒くて困りました。
せっかく毛虫の毒はなおったのに、今度はブヨ!
■日置では、最近都会から移り住む方も増えているそう。
たしかに、この環境は魅力的でから移住したくなるのもわかります。
そういえば、出会った地元の人もみんな、本当におおらかなかたがたでした。市役所の方も、ものすご親切でした(不動産現地調査では市役所が役立つことがあるんです)。
しかも、1時間もクルマで走れば鹿児島空港ですから、交通もかなり便利ですよね。
私にとって、日置は、ぜひ次回また戻って来て、今回訪ねきれなかった場所をまわってみたい。そう思わせ得る魅力のある場所の一つです。
鹿児島発で、何でもそろうことで有名なホームセンター「A-Z」も近くにあり、これをチェックするのも次回の宿題です。
もちろん、鹿児島市や桜島も魅力的ですけどね。
いつの日か、鹿児島に移り住んでいるかもしれません・・